商品の値引きに良い値引きと悪い値引きがあると思いますか?
いつ、どなたが書いたのかは忘れてしまったのですが、たしか日経新聞で、
「値上げするときは外部に要因を求め、値下げするときには自助努力にする」
ということが書いてありました。
 つまり、値上げするときには原油や材料の高騰、人手不足など、自分には関係のないことを理由にします。一方、値下げするときには、コスト削減、技術の革新など私の頑張りを強調したがるものというのです。
 ですから、企業にとって良い値引きというものは、価格を下げることと同時に、自社の宣伝を兼ねて行うことが多いと考えられます。
 一方、月末になると問屋さんが
「社長、今月ベベルボードを1山つきあってくれん。」
「マットエース、はいらん?」
というように電話を掛けてきます。当然
「いくらにすると?」
という話になるわけです。同じ商品をなんの違いもなく、安売りをしなければならないこと、これが悪い値引きです。業者間ではこんな感じですが、一般向けなら、売り上げ不振の時に
「円高還元セール」とか、「消費税分還元セール」ということがこれに当たるでしょう。
 住宅の販売でも、同じことが言えると思います。材料や工法を見直した結果値引きをするのであれば、良い値引きと言えるかもしれません(材料にもよります)。しかし、
「今月末までに契約してもらえたら、5%値引きします」
ということは明らかに悪い値引きなのです。
 外部の要因が価格に影響する場合は、最初の見積もりに対して、
「今月末までに契約しないとこの価格で受注することは出来ません」
となるのです。悪い値引きを続けることは、経営を圧迫する最大の要因になりかねません。住宅は完成してからも、その業者さんと長くお付き合いしたい買い物です。こうした見方が、長くお付き合いできる業者さんを見つけるきっかけのひとつになればと思います。