今朝の日経新聞23面に「住宅用構造材一部値下がり」という見出しの記事が掲載されています。小見出しには「輸入品の下落影響」「柱用、直近高値比8%安」とあります。

 見出しだけ見ると、不景気の影響で需要が落ち込んで、価格が下がったように思われますが本文にもありますように、「職人不足で住宅着工数は伸び悩んでおり、市場低迷は長期化しそうだ」ということに原因があるようです。

 東日本震災の影響もありますが、この10年、建築業界では「下請けたたき」が加熱し、結果として若い職人を育てることが出来なかったことが大きな要因になっていると感じます。
 加えて、支払いに苦慮した業者・職人さんが業界から去ってしまったことで、わずかな環境の変化で、一気に需給関係を変えてしまう要因になってしまっているようです。

 北部九州では今、外装板を張る職人さんと軽天工事屋さんが特に不足しているそうで、日当が昨年に比べて2倍を超える、2万5千円(しかも食事代別)に上昇しているとのお話しを伺いました。ただし、この賃金上昇の要因には、某小売店の巨大ショッピングモールが3月に開店するために、職人さんを必死に集めていることが要因のひとつにある、ということでその後の仕事の保証はないともいわれています。

 このように、そのときだけの仕事で賃金価格が上下することがどうなのかは議論しませんが、住宅会社・工務店・下請け業者に限らず、次世代の住まいを守るための職人が育たないのは、日本社会にとって憂慮すべきことではないでしょうか。

 これからご自身が住まう家を建てるときの基準に、10年・20年後、建てた家を誰がメンテナンスしリフォームしてくれるのか、ということも作り手選びのひとつに考えて欲しいと感じます。



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