県立博物館と図書館の老朽化への対応は今後、県が主導するインフラの整備・維持の象徴的なものになると考えています。

武雄市の新しい市立図書館が注目されるなど、図書館に求められるものは時代と共に変化しています。高齢化社会を迎えた今、人を迎え入れる図書館という考えにこだわらず、図書や資料を保管し、要望に対して図書館が移動することも検討していく必要があると感じています。従来の閲覧型の図書館は、それぞれの市町にゆだね、県立図書館は佐賀県に関する資料の保管・閲覧、貸し出しに特化した施設として運営できるものに整備していくべきではないでしょうか。

国の地方分権会議も再び道州制の実現へ向けて動き出しました。これまでの「県」という概念にとらわれて施設を整備することよりも、市町での充実を図る方が住民の皆さんの利便性を高めるでしょう。県が合併して州という単位になったときに「佐賀県」として後世に残しておかなければならない文献・資料が沢山あるでしょう。これを保管していけるための施設として、新しい図書館のあり方を考えていくべきだと考えます。

一方、耐震性の問題を抱え老朽化も進む県立博物館ですが、こちらは吉野ヶ里歴史公園に隣接する形での建設を提案します。

佐賀県のホームページによると、佐賀県のミュージアムは佐賀市城内にある「県立博物館・美術館」のほかに、同じく城内にある「佐賀城本丸歴史館」、有田町の「九州陶磁文化館」、武雄市の「宇宙科学館」、唐津市の「名護屋城博物館」があります。

それぞれ地域ごとに時代とコンセプトを持つ展示が行われていることを考え、さらに佐賀県の人口が県東部地区で増加傾向にあることなどから、この地域の人たちが気軽に県立のミュージアムを訪れることができるようにするためにも、吉野ヶ里歴史公園に併設して、古代を中心とした展示を行うことが良いのではと感じています。これにより、多くの県民の皆さんがいずれかの施設でイベントを楽しむことができるようになるのではと感じています。(将来的には唐津市中心部と鹿島市も考える必要はありますが)
・古代を学ぶ吉野ヶ里公園
・中世を学ぶ名護屋城
・江戸の文化を学ぶ有田町陶磁
・幕末・明治を学ぶ佐賀城本丸
・未来を創造する武雄市宇宙科学館
という形で、学びたい時代やコンセプトを元に、資料を展示することができるのではないかと感じています。

その時には、県立博物館の跡地をどうするかと言うことも考えておく必要があります。美術館を拡張することも考えたいのですが、佐賀大学が美術館を建設した今、佐賀県がその拡張に動くのは適当ではありません。

今の美術館は特別展示が開催される時の土日に、駐車場が常に満車になるなど不便を感じることがよくあります。また、駐車する1台当たりのスペースも狭く利用しにくいと感じます。

これを改善するためにも、博物館の跡地は城内公園の駐車場再整備などに活用することが有益ではないかと考えています。市内中心部に芝生の広い公園があることは防災の面からみても有効になります。

地方都市では、自家用車の利用を前提とした施設の必要性は、当面変わらないでしょう。市内中心部にある施設だからといって、駐車場の不便な施設を増やすべきではありません。利用者目線と将来の維持管理コストを考えた、施設の整備計画が必要になる感じています。