7月にオスプレイの話題が上った今、この問題をここに掲載すべきではないのかもしれません。
しかし、これまでの佐賀空港が抱えていた問題はきちんと提起し、オスプレイの話題は沖縄県知事選が終わる11月まで静観したいと考えています。
(基本的なスタンスはこちら)
 佐賀空港にオスプレイが来る!
 佐賀空港が軍民共用にはなりえない


2013年7月28日に開港15年を迎えた佐賀空港。開港前の計画では、10年後の利用者が年間81万人と想定していたものの、現在の利用者は30万人前後にとどまっています。確かに、航空運賃の自由化など航空業界を取り巻く環境が大きく代わったとはいえ、当時の指導者に時代を見る目がなかったと言わざるを得ません。

そんな佐賀空港の利用促進策などに当てられている県の支出は2億9千万円で、開港から2011年度までの累計で42億円に上るようです。さらに2013年には9億円をかけて国際線のLCC航空を誘致するのための国際線専用の施設を建設しています。

開業計画と実績にこれほど大きな誤算を生んだ施設に対し、新たな数値目標を定めずに投資を行うことは疑問に感じます。県民の半数が佐賀空港よりも福岡空港や長崎空港までのアクセス時間が短いという環境の中で、旅客を中心とした施設が本当に必要なのか、あらためて検討する必要があるのではないでしょうか。

LCCの効果は、運行を始めて2年後には検証できるでしょう。それでも利用に改善が見られないのであれば、旅客中心の利用を改めることを検討すべきではないでしょうか。

中国春秋航空の日本法人・春秋航空日本が、2014年5月に佐賀〜成田路線を1日2往復で開設されることが決まりました。佐賀〜上海線を週3便運行する春秋航空に佐賀県が路線開設を働きかけていた成果であり、今後同社が求める運行に関する支援がどのようなものになるか注意しておく必要はあるものの、空港利用の選択肢が広がるという意味では良かったと感じています。

都心へのアクセスが良い全日空の羽田便に比べて、成田空港へのアクセスはビジネスとしては利用しにくい面があります。しかし、グローバルな時代を迎える中で、海外への出張・旅行を計画する場合に、佐賀空港から成田空港へアクセスできることは乗り換えの面で非常に便利になると考えられます。

ただ、全日空への支援とのバランスを考えれば、着陸料や駐機料の減免を超えた支援を行うべきではないと考えていますので、今後の動向には注目したいところです。

路線が拡充するといっても運航に公的支援を行っている以上、佐賀からの利用客が増えることよりも、佐賀への利用客を増やし、佐賀へのビジネス客、観光客を増やさなければなりません。西鉄バスが、佐賀空港から福岡への高速バス運行を決めましたが、空港だけの利用になるのであれば、本来の目的から外れてしまいます。


佐賀空港の利便性という面では無料駐車場のあり方も検討する必要があると感じています。春秋航空・佐賀〜成田の運航に併せて佐賀県は空港利用者の増加を見込み800台収容の駐車場を増設する予定です。無料駐車場をアピールしてきた佐賀空港ですから、需要が伸びれば駐車場がこれまで以上に必要になることは仕方ありません。しかし、駐車場の増設が必要な中でターミナルビルに近い第1駐車場(431台)を無料のままにしておくことには疑問があります。第1駐車場の無料は、空港への送迎や飲食を目的とする利用者に対し2〜3時間と時間を区切って認めることは良いのですが、それ以上の時間を過ごす方や宿泊を伴う利用者が、玄関口を占有できることには疑問を持ちます。今回の増設計画では、工事のための調査・設計費だけで3000万円の予算案が県議会に提出されています。

参考にすべき駐車料金の仕組みが2011年に開業した新鳥栖駅前の駐車場にあります。入口すぐの場所が
 30分〜1時間100円
  1〜3時間 300円  
  3〜6時間 600円
  6〜24時間1000円
以後1日ごとに1000円
で設定されていることに対し、道路や線路の向こう側の駐車場は
 40分まで無料 
 40分〜24時間 100円  
 以後1日ごとに 100円
となっています。佐賀空港でも今回の増設に合わせて、少なくとも第1駐車場は有料化すべきだと感じています。また増設する部分が無料駐車場であることを考えると、立体駐車場ではなく少し離れても県有地の活用が望ましいのではないでしょうか。

ますます活発になりそうなLCC航空の発着と企業支援ですが、限られた予算の中で、どこまでを許容できるのかも考えていかなければなりません。
そもそも空港維持のために行う支援が本当に適当なのでしょうか?

新しくソウルとの間に開設しようとされているLCC航空会社へは、着陸料の免除など年間1億5000万円が予定されています。これは中国春秋航空と同程度ということでした。もし、この費用を支援するだけで中国や韓国からの利用客を獲得でき、その人達が佐賀県に宿泊して佐賀県で企業活動をし、佐賀県に納税する人たちがその恩恵にあやかれているのであれば、この支援に理解をすることができます。

しかしLCCを誘致した上に、その航空会社の利用を促進するために県民や県内企業にPRする費用や時間をかけているのであれば、外国の特定企業に利益誘導することにつながりかねません。

企業と行政のつきあう距離には難しいところがあります。

飛行機の就航に便利を計り、それを利用するお客様を集めることにも尽力するのであれば、計画そのものに無理があります。目先の利用率向上に力を注ぐのではなく、海外から「佐賀のここに行きたい」という魅力的なものを発掘し、PRしていくことにこそお金を使う必要があるのではないでしょうか。

県外・国外の人々に伝えるべき魅力を秘めているのが佐賀県です。航空会社に使う1億5000万円は、支援が終わると観光客の足もそこでとまるでしょう。しかし、魅力を創造し世界に向けてアピールする活動は、その時だけに留まるお金ではないと感じます。開港以来利用率が低迷している佐賀空港。これは開港の時期と同じ頃から、航空業界の価格競争が激しくなったことが要因に上げられ、福岡空港の条件と価格・運航ダイヤのいずれを比較しても、その差が歴然としている現状では、公費を使って空港を維持しているのが現実ではないでしょうか。

佐賀空港はお盆やお正月の帰省にはメリットがありますが、駐車場の無料化など、本来収益として考えていた部分まで無料化している現状では、経営が全くうまくいっていないことになります。

LLC航空の国際線に期待が寄せられていますが、春秋航空の利用率が日中の政治問題で低迷するなど、描いたとおりには行きません。新しく韓国のジンエアーとソウル線を開設しようとしましたが、こちらは長崎に奪われました。代わりにティーウェイ航空が就航するようですが、これから企業が海外進出のする後押しをするための飛行機なら、シンガポールや東南アジア諸国、成田経由のアメリカ西海岸やロシア・ハバロフスク、ウラジオストクへのルートを創設することが重要だと感じます。

春秋航空を支援する際にも多額の公費が使われていますが、その飛行機で佐賀に降りた中国人ツアー客を、佐賀県での滞在時間より長く熊本・福岡・長崎を案内するツアーに公費で支援することがそもそも適当なのか考える必要があります。北朝鮮の動向が不透明な中、ソウルとのLLC運行に県が助成することが適正なのかにも疑問があります。

国内線に目を向けると、行政が多額のPR費用を負担して東京線の維持・拡大を目指している現状は、本来安価で利用できる福岡〜東京線を使わないことにつながり、経費の無駄遣いではないのかということも考えなければなりません。公開されている佐賀空港に対する収支のみでなく、県や市町の職員が出張などの時に、福岡空港を利用することで削減できたであろう経費が、佐賀空港を利用することで高くなったという数値など、検討すべき点も多いと感じています。

さらに2022年には長崎新幹線が開業します。空港関係に使うことのできる予算は今後縮小しなければならないことは、明らかです。

LCCやほかの航空会社に支払う助成制度の中で注視すべきことは、佐賀へどのくらいのお客様を運んできたかという実績です。単に搭乗率や利用客数をみるのではなく、佐賀に空港があることで、「ほかの地域からどのくらいのお客様を佐賀空港に向かえ、佐賀の宿泊施設や飲食店でお金を使っていただけたのか」という点が、空港への助成制度でもっとも評価されるべきポイントだと考えています。

2013年6月19日の参議院本会議で国や自治体が管理する空港の運営権売却を認める民活空港運営法が可決成立しました。日経新聞では運営権が見込まれる主な空港(10箇所)を地図で示し、佐賀空港もその一つに上げられています。

1時間に1本以上の東京行き飛行機が発着し、佐賀市や唐津市といった県民の約半数が、自動車を利用すると1時間でアクセスできる利便性の良い福岡空港と共存するために毎年多額の税金が投入され、さらに長崎新幹線開業に合わせて関西方面への新幹線直通運転が実現することになれば、これまで以上に厳しい運営が予想される佐賀空港です。

これからは民間活力を導入することにより、従来のビジネス・観光という枠を越えた空港の可能性を追求することで未来を切り開いていくことが必要だと感じています。

熱気球というスカイスポーツの盛んな佐賀の空を有効に利用していくためには、それぞれの団体との調整も必要になるかとおもいますが、恵まれた環境だからこそ実現できる空の活用法に期待を膨らませることができないでしょうか。

様々な厳しい条件と向き合いながら、将来に活路を見いだすならば、2000年代半ばに比較的うまくいっていた、夜間貨物便の運行に活路を見いだすべきではないでしょうか?

羽田空港の拡張により減便された影響で、そのメリットを耳にすることが少なくなりましたが、今後も旅客需要の拡大が予測される福岡空港に変わり、貨物に力を入れることで空港の魅力をアピールすることは可能でしょう。

佐賀空港にアクセスするための有明海湾岸道路が順次整備されています。九州道みやま柳川インターから国道443号バイパス、湾岸道路を経由して佐賀空港へアクセスすれば、物流拠点の鳥栖から1時間以内を確保できるでしょう。

さらに、鳥栖市の物流能力が飽和状況を迎えつつある中、福岡県のみやま市付近や大川市がその機能を分散していけば、佐賀空港に貨物のニーズは今まで以上に高まると期待できます。

佐賀の農産品を素早く運ぶ事のできる空港だけでなく、九州の部品を関西、中部、東京に、そして海外からの製品を物流へという加工物流の拠点として整備することが重要になると考えています。

佐賀の発展のみではなく、ほかの地域との共存共栄が佐賀空港を生かす鍵になります。