TPP加盟への賛否で揺れる現在「農業を強くするために」という言葉の下、株式会社が農地取得を行うことを認めようとする強い動きがあります。しかし、株式会社が農地を取得することは外国人が日本の農地を持つことを認めることになり食料安全保障の観点から非常に危惧すべき事だと感じています。このことを防ぐために佐賀県の農地および山林を法人および外国人に売買・譲渡することを制限する条例の制定などを行う必要があります。

株式会社が持つことのできる農地への権利は「耕作権」までにとどめ、所有権を持つことを認めるべきではありません。所有権を認めると日本人の食が将来、さらなる危険にさらされます。そもそも食糧の自給率を金額ベースで比較するなど無意味なことを行ってはならないのです。日本の農業を強くするための株式会社参入なら耕作権を長期契約(20〜30年)で取得することができるようにすれば十分です。

安倍政権は基本的にTPP参加へ前向きな姿勢をとっているように感じます。これに対し県やJAをはじめとする各種団体が、TPP参加に対する懸念を表明しています。しかし、TPPの問題はこれらの団体が主張する農業の問題ではなく、ISD条項をはじめとする、日本のメディアがほとんど話題にしないところにあるのではないかと考えられます。貿易立国であり自国を守るための軍隊を持たない日本は、自由貿易を否定して国際社会で存在感を示すことは難しいと考えられます。TPPの問題の賛否と自由貿易の賛否は別々に考えるべきなのです。その上で今は賛成・反対を主張するのではなく、加盟後に起こる混乱を想定し、農業にできる限りの対策を講じるべきです。「私がもっとも危惧するのはTPP加盟後、日本の耕作地が失われることです。そして、食に関する正しい情報を国民の皆さんに伝えることにも制約がかけられるのではないかということにTPP参加の課題を感じています。」
一旦失われた農地はもはや取り返すことはできません。

TPPへの参加で、日本の食事情は大きく変わらざるを得なくなります。米だけは聖域という時代は終わりました。1kg1ドルのお米が市場に出回ることが想定されるでしょう。その時、一時的に日本の米作りは大きな打撃を受けるのは想像に難くありません。しかし、長期にわたり安い米が日本市場に供給されるとは限りません。今、カリフォルニアでは水不足が問題になっています。地球規模での環境の変化は、食糧の安定供給へも近い将来問題を起こすかもしれません。

その前に日本の農家がやる気を失い、農業に見切りを付け農耕地を放棄し、無秩序に他用途転用すると日本の農業は根本から崩壊します。それでも私たちはこの美しい農地を失ってはなりません。今、佐賀県が進めている「耕作放棄地をメガソーラーに」という考えなどもってのほかです。食料を外国に依存した私たちは、独立国家として二度と自立できない事態となるでしょう。

貿易立国で資源の乏しい日本農業の課題は、「日本の消費者が必要としていないコメに補助金を出して作り続けていること」にあります。コメの輸入自由化反対を叫ぶ前に、日本人がお米を食べる文化を失わせている要因は何か、そのことを考えて改めていく必要があります。