阪神大震災の後に、建築物の耐震性が強く求められました。今度の東日本大震災では、津波への対策、土地そのものの安全性を求められています。しかし日本人は本来、こうした自然災害とも調和を取りながら、繁栄してきた民族ではなかったのでしょうか。

自然から発せられるメッセージに耳を傾け、自然災害に立ち向かうのではなく調和を取って生きていく姿勢が求められているのだと感じます。

災害を防ぐための土木工事で、人々を守ることはできません。これからは、人と人のつながりを持って災害の被害を最小にしていく必要があります。その手段の一つとして、地域の消防団が果たす役割は大きいと感じます。


多様な運営が求められる消防団活動

現在の消防団の仕組みは1948年に公布された消防組織法により「消防団は地方公共団体に附属する消防機関」として規定された仕組みのもとで消防団の仕組みが整えられており、働き方が当時と大きく変わる現在では消防団団員への負担が大きく、団員の数を伸ばすことが出来ません。

これは個人の働き方の変化ばかりでなく、活動範囲が火災から水害、人捜しまで、様々な機会へ拡がり団員一人に対する負担が大きくなっていることが要因に上げられると感じています。私自身は約8年ほどしか消防団員として活動していませんが、職場における自衛消防隊活動と共に、基礎的な消火活動を身につけることができた点で、大きな意味を持つ経験が出来たと感じています。このように、同じ人が何十年も団員として留まり負担が大きくなるよりも、より多くの人が消防に関する経験を持ち、いざ近所で火災が起きた、大雨で大変だ、という時に先頭に立って対処できる環境をつくることが重要になると感じています。

多くの皆さんが消防や水防のスキルを身につけるためにも、ある年齢を超えて県内に住む場合に、3年程度の基礎訓練活動を求めることが必要なのではないでしょうか。それは、消防団であっても、企業活動の一環であっても、また学校教育の一部であってもかまいません。その経験の上で、個人の都合に応じた「総合防災団員」「水防団員」「消防団員」「夜間警備員」など区分を設けて、各人が負担の少ない形での防災活動に携わることの出来る仕組みをつくることが重要になると感じています。

こうした活動を積み重ねていくことで、地域に独立した防災意識を根付かせることができると考えています。防災意識を高めることで、災害の時に「助けてもらう」人を減らし、「助ける人」を増やすことができるのです。