阪神大震災以降、学校や公共施設、道路に堤防まで耐震補強が求められ現在も進められています。しかし、東日本大震災では、私たち人間が自然の力に対して力で対抗しようとしても無意味である事を思い知らされたはずです。

鉄筋コンクリートの寿命は70年といわれています。私たちの平均寿命より短いものを作り続けて、地上のゴミを増やす事が本当に必要なのか考えて事業を行わなければなりません。それは耐震工事をやらなくて良いという意味ではありません。しかし、人口が減少する中で全ての学校を耐震補強するよりも、学校の将来を考えて必要な学校や教室に補強を行うべきではないでしょうか。

災害避難所になる体育館などの耐震基準が足らないという声も耳にします。しかし、全ての避難所が地震に対する避難所である必要があるのでしょうか。佐賀県の場合、避難勧告が出される場合のほとんどが台風と大雨です。避難場所に求められる条件は、耐震性ではなく風雨に耐えられることであり、水害から住民の身を守る事です。

このように、想定される災害の割合が大きく異なる事を考えれば、災害の避難場所は一次避難所と二次避難所という形などで、災害の内容や規模に応じて対応できる仕組みをつくることが重要ではないかと感じています。

一次避難所は台風や水害のときに自宅にいては危険を感じる人たちが、その状況が過ぎるまで避難できる環境を整えることです。耐震性よりも台風に耐えることと情報が正確に入手できること、トイレが整備され簡易的な食事が出来ることが求められます。

二次避難所には一週間を超える避難や地震の時にも避難できることなどを要求されます。耐震性はもちろん、調理施設の完備や食料品などの備蓄、救援物質の受入が出来ることも条件になるでしょう。限られた予算の中で画一的な基準で避難所を設けるよりも、原子力発電所事故対応を含めたピラミッド型の避難システムを構築していくことが重要なのです。