17日間という半月以上にわたって行われるのが知事選挙です。期間も範囲も同じく全県を舞台に行われることから、参議院選挙と同じように考えられます。しかし、参議院選挙は国政選挙のため政党の代理戦争です。メディアの注目は首相や政党の党首・幹部が中心になります。候補者がメディアから注目される状況は比較にならないのではと感じます。
 そんな長丁場の選挙戦。いろんなことができそうなのですが、現実にはそういきませんでした。選挙に精通した方々には常識なのでしょうけど、組織に頼らない選挙を行った私は、そのことが身にしみた選挙戦になりました。しかも、現職の辞職による選挙、年またぎの選挙というものが、無名の新人候補者にこれほどマイナス要因になると言うことは想像できませんでした。
 選挙の結果は8割方、告示日の時点で決まっていると言われます。今回の選挙では、告示9日前に立候補を表明した山口新知事が当選されたことで、この点が当てはまったとは言えません。しかし、本命視されていた樋渡候補のポスターに見られるような準備不足と佐賀市長をはじめ有力な地元政治家の方が明確に山口新知事を支持表明・応援された動きの速さを見ると、有権者や支持者の方が気づく前から選挙の結果が見えていたのかもしれません。そして私の結果は、知名度不足を補うだけの組織力がないままの立候補だったことからの必然と言えるでしょう。
DSC_8335 想定していたこととはいえ、ポスター貼りに手間取ったことはもちろん、メディアが取り上げる情報をコントロールできなかったことが、最大の問題だったと感じています。
 県知事選挙の候補者は、選挙が始まると時間がなくなります。8時から20時までの屋外での選挙運動が出来る時間はもちろん、その前後の時間もマスコミへの対応に時間を割かれます。休憩中に街宣隊の皆さんがくつろいでる時間も、テレビや新聞の取材で追われます。結果として新聞やテレビを見る時間がありません。新聞は朝15分ほど佐賀新聞に目を通すことは出来ましたが、選挙に関するテレビ放送を目にしたのは、太良に宿泊した1月8日の朝に、政見放送で最後の挨拶をする部分の15秒だけです。ほかの番組や新聞でどのような取り上げられ方をしているのかを見ることすら出来ませんでした。当然、それを検討し対策を打つことなど出来ないのです。つまり、選挙戦が始まる時にメディア対策が出来るスタッフの体制とポスター貼りの準備が出来ていないと、常にマイナスイメージの情報が発信されることになり、選挙結果を覆すことは困難になります。 勝つための選挙を行うには、いくらお金をかけるかではなく、スタートダッシュに最高のパフォーマンスを見せられるように準備することこそ、無名の新人候補が心掛けるべきテーマだということを学びました。17日間の長丁場の選挙戦、マラソン競技と同じです。後半の追い込みは大切ですが、それは先頭集団にいてこそ意味があるのです。マラソンのテレビ中継を見ていると分かるように競技場から道路に出た後、序盤に先頭集団から脱落た選手は、その後カメラの視界に入りません。無名の新人が行う選挙も同じです。選挙資金の半分をこの日につぎ込むくらいの覚悟が必要です。

DSC_8328 そして今回の選挙、スタートでの出遅れが必死となった最大の要因が、前職知事の辞職による繰り上げ選挙にあると考えています。結論から言いますと、立候補表明をしていないタイミングで決まった繰り上げ選挙に、無名の新人候補は挑戦すべきでありません。私が挑戦しようとした県知事選挙は、2015年4月12日に予定されていました。使えるお金と準備期間を考えると、告示日の3ヶ月前のタイミング(2014年12月19日を予定)で立候補表明をし、親戚やつき合いのある人たちへ挨拶周りをして組織を作ることが効果的だと考えていました。
 当然、立候補表明をすることでメディアからも注目されることで、幅広い政策を人々に示すことも可能になります。今回の選挙では、この準備期間の90日が失われました。
「顔が売れたね」とか「知名度が上がったね」
と言われます。しかし、あまりの短期間であったために、公に発信できた政策は原発再稼働の問題とオスプレイの問題、そして農業と食の問題に限られてしまいました。
本来問題として提起したかった、長崎新幹線建設の判断ミスや諫早湾干拓事業の是非、合わせて、佐賀県が長崎県の総務部として扱われているのではないかと感じる不満など、問題にすることが出来なかったのです。始めから当選を目指すのではなく、政策や思いを示したいというのであれば、選挙期間だけでもそれは可能でしょう。しかし、私が目指したのは、当選することです。選挙の戦い方が違います。
 振り返ってみると、政策や思いを伝えるだけの選挙や供託金を足られない選挙なら、ほかにも進め方はあったと思います。しかし、それではない選挙を行う以上、告示日までに組織固めと政策の浸透が出来なければならないのです。これからも、不祥事をはじめ様々な要因で、任期満了ではないタイミングでの知事選挙は行われるでしょう。
 しかし、無名でも志を持って知事を目指される方には、私の経験を是非参考にしていただきたいと思います。任期満了でない選挙には出るべきではありません