そもそも、年またぎの選挙がいかに、極めて異例な場合にしか起こらないかを、考えてみて下さい。
 任期満了に伴う選挙が年をまたぐことは考える必要がありません。国政選挙の補欠選挙は、年2回4月と10月にしか行われません。衆議院の解散総選挙は全国が舞台です。その選挙をテレビ局がかき入れ時の、年末年始のお休みに行うことなど許されるはずがありません。一方で、市町村の選挙は選挙期間が短いです。市長・市議会で1週間ですから、この種の選挙でも年またぎの選挙が行われることはありません。
 結果として、県議会が解散した場合と県知事が辞職した場合にしか起こりえないのです。そして、選挙期間が18日間と長く、首長が辞任して50日以内に選挙を行わなければならない規程がある知事選挙だけが、現実に年またぎ選挙を避けることが難しいのです。
 そして今回、年またぎ選挙が現実となった佐賀県知事選挙。おそらく全ての候補者が明確な形で苦労したのが次の3つでしょう。
・ 年末年始は新聞広告が自由に行かない
・ 選挙公報が思った時に届かない
・ 選挙スタッフが集まらない

影響にはそれぞれ違いがありますが、社会構造として2点については改善されるべきだと感じます。


1.年末年始は新聞広告が自由に行かない

 選挙中に配布出来る文書には、選管から発行される証紙を貼らなければなりません。これは、選挙の届出が受理された後にしか交付されませんから、前もって準備することが出来ません。
 一方、新聞社では年末年始が繁忙期であるために、折込の締切を1月5日までのものについては、12月19日までとされていたのです。社によっては新聞休刊日があり、どんなに早くても1月7日以降にしか折込むことができないというのです。
 これは全くの想定外です。事前に行おうとした後援会活動としての折込が衆議院選挙の関係で認められず、今度は選挙期間に配布できるビラを新聞に折り込むことも選挙の終盤にしか行えないなど、無名の新人候補にとっては致命的なハンディです。
 この課題に対しては、他の候補者からも「特別なケースだから対応して欲しい」とお願いがあったということで、佐賀新聞に限り26日朝8時までに入稿することで「1月4日に折込みの対応をする」との回答をいただくことが出来ました。
 しかし、ここにも大きなハードルがあります。証紙を受け取ってわずか20時間あまりの時間に、1月4日に折り込むチラシ全てに証紙を貼り終えなければいけないのです。クリスマスという日に大勢の人手を必要とします。しかも、出来上がったものを全て折込んでいただけるということではなく、事前にその数量を届け出る必要があったのです。結局、このタイミングで折込予定を組むことが出来たのは、佐賀新聞の鳥栖市、三養基郡、唐津市の約2万枚です。約10名の皆さんによる協力の下、この日のうちに貼っていただいたシールの数は3万枚近くになっていましたから、臨機応変の対応をして頂ければと感じたものです。ビラの証紙貼りに人手を割いたことは、結果としてポスター貼りの遅れにつながったのではないかと、振り返ることが出来ます。

 ちなみに、この選挙用ビラの折込は有り難いことに特別価格が設定されます。通常の折込価格のなんと、1.5倍です。


2.選挙公報が思った時に届かない

 様々な制約の中で公約を浸透させることが出来る手段に、選挙区全ての世帯に配布される選挙公報があります。しかし、ここにも年またぎの制約がありました。
 佐賀新聞社で印刷された選挙公報、原稿は締切の26日に印刷され翌日には各自治体へ届けられています(そのはずです)。そして、自治体から区長や自治会長さん宅へ届けられるのですが、ここに問題が生じたと推測されるのです。
 年末の忙しい時期のために、それぞれの世帯へ届けられる時期に、大きなバラツキが生じているのです。さらに新聞などの紙面もボリュームが大きい時期です。選挙後にお話しした方の中には「公報に気づかなかった」という方もいらっしゃいました。本来、速やかな配布が行われるべき選挙公報が、候補者の意図しない形で配布されることになってしまったのも年またぎの選挙の大きな課題です。


3.選挙スタッフが集まらない

 年末年始はただでさえ忙しい時期です。宅配便やショップでも季節限定の求人が出されるときです。そんな時期の選挙に、スタッフを確保することは容易ではありません。しかも、選挙があると決まってから、選挙の日程が決まるまでにも時間がかかりました。ウグイス嬢を確保することはもちろん、運転手の確保、ポスター貼り要員、そして事務所のスタッフを確保することも困難を極めました。当然のように想定していた金額を超える予算の提示が必要になります。
 最終的に、1日あたり2名以上のウグイス嬢と運転手を組み込むことは出来たものの、予定していた手当を支払う事務員さんを確保することは出来ず、選挙期間中にアンケートやマスコミへの対応などを候補者である私が行わなければならないという、大きなロスを生じる結果になったのです。
005 ちなみに、統一地方選挙を想定して計画していた予算案は、ウグイス嬢を1日2交代の各2名で4万円(トータル約70万円)、運転手を1日2交代で1万円(トータル約20万円)、事務員2名トータル60万円というものでした。実際には、ウグイス嬢を県外から派遣で採用したことと、運転手の日当を2倍にしてお願いしたこと、そしてポスター貼りなどの労務者に費用負担したことで、計画通りとは行きませんでした。
 一概に年またぎの選挙が費用負担を膨らませたとは言えませんが、人の面で選挙戦を効率的に行うことが出来なかったことは、選挙に時期が影響したといえるでしょう。


 全ての候補者が同じ条件で戦う選挙戦とはいえ、組織力と知名度のない新人候補としては、選挙期間をさらに短縮するようなマイナスの影響があったと考えられます。