選挙があることは分かっても、日程が決まらない選挙。そして、衆議院選挙と同じ時期に行われる選挙では、思ったようにスタッフが集まりません。ただでさえ、私を応援して下さる方々は、個人で小さな事業を営む方が多いので、年末年始のかき入れ時に動ける人など、ほとんどいらっしゃいません。

 ウグイス嬢も同様で、乗務してくれる方を集めるのに苦労しました。口約束していた知人は全滅です。主婦の方も多いこのお仕事、お正月にまとまった仕事を入れられる人も少なかったようです。それでも、11月のうちに支持者の方から「新人だけど、声を出す仕事をしている子がいるから」と2名のウグイス嬢をご紹介頂きました。しかし、17日間全ての乗務できる訳ではありません。「なんとか一日2人は」と思いながら探して頂きました。派遣会社から12月5日、12月12日に、それぞれ関東と関西から「問い合わせいただいてるけど、交通費などがかさむので断りますか?」と連絡をいただきました。そんなことは言ってられません。遠くても、声をかけていただけるということは一つの縁ですから。ドクター中松が行っていたウグイス嬢に頼らず、自分の声を録音してマイクから流す方法も真剣に考え、レンタカー会社に機材の確認まで行いました。

 選挙の手伝いをしてくれるスタッフが集まらなくても選挙は始まります。衆議院選挙真っ只中の12月8日に選挙の事前説明会が開催されました。沢山の書類の中に、ポスターの掲示箇所を示した地図も入っています。市や町ごとに地図の出来が異なります。出来が良いのは多久市や武雄市でした。提出書類の準備と並行して、地図を見ながら街宣計画も考えます。ポスター貼りの人手もない。
 街宣活動を行いながら、ポスターを貼る覚悟を決めました。ポスターの掲示板前に着いたら、ウグイス嬢にポスターを貼ってもらい、その間に私が演説を行うという方法です。
 ところが、ウグイスさんからこんな確認が。

「街宣中にポスター貼りもされるとのことですが、ウグイスがポスター貼りをするのは、公職選挙法上問題ないのでしょうか?
 ポスター貼り等労務者の報酬は上限1万円なので、ウグイス料金がそれ以下なら問題ないと思いますが、飯盛様から派遣会社にお支払い頂いているウグイス料金はそれを越えているのではないでしょうか?
 報酬をもらっているウグイスが、無償で行うべき電話かけを手伝うのは違法と聞いておりますが、労務者の上限を超える金額をもらっているウグイスがポスター貼りを手伝うのはどうなのでしょうか?
 ご確認頂ければ幸いです。
 公選法に触れないことは何でもさせて頂きます。」

と。これには、選管でも即答することが出来ませんでした。そして、結論はNGということに。こうなると、運転手さんか私が貼るしかなく、最終的に私自身がポスターを貼ることになってしまいました。

 当初の街宣計画は、前半戦はポスターを貼りながら回るので、12月30日までは県内全市町村を回る。それ以降は進捗状況を見ながら、遅れている地区を回る。1月5日以降は人が集まる地区を回る。という事にしていました。

 そんなもたもた感の漂う選挙準備が、12月18日に届いた一通のメールで一転しました。
「・・・・・・
 そちらの陣営でウグイス嬢が足りず、困っておられるとお聞きしました。
 ・・・・・・
 私はプロのウグイス嬢ですから、選挙に関しての決まり事や遊説カーの事情などは心得ております。新人さんで初めて選挙をされる方には、きっとお役にたてると思いますので、まだウグイス嬢をお探しであれば、担当者の方から直接ご連絡を頂ければありがたいです。」
 突然のメールでしたので、3日だけ待ってもらうことにしました。これまで考えていた体制が変わる問題(チーフが代わることになる)。乗務日程の問題(街宣車に2人乗る予定が3人になることも)。お金の問題(宿泊費がかさむこと)。
 身元が分からないので採用を見送るか、人員が不足する年明けから入ってもらうか、選挙期間17日間全て入ってもらうか。ここで私は、占星術を使って全期間乗務をお願いすることにしたのです。


 坂田優美さんが加わったことの効果

 このメールの送り主が、後に新聞でも話題になった坂田優美さんです。ここで一番、気になったのがチーフを変えることです。「ウグイスさんの世界は女性の世界、力関係も微妙で選挙の後半戦になって宣隊がまとまることも、崩壊することもウグイスさんの人間関係次第」と事前に伺っていましたので、当初チーフにと考えていたウグイスさんに事訳を入れるところからはじめました。
 坂田さんが入っていただいたことで、宣隊の準備は急速に進みました。必要な備品のチェックや手配、ウグイスさん達の打合せ、そして当初は行わない予定だった出陣式の企画まで行っていただきました。
 でも、全てがうまくいったわけではありません。候補者本人に集まっていた取材が、選挙終盤に坂田さんが注目されはじめ、候補者本人と坂田さんの2人に対して取材の依頼が入るようになりました。結果として街宣車が足止めされる時間、街宣から戻ってからの取材時間が長くなってしまったことです。PRのために取材は丁寧にお答えしたいところです。しかし、選挙終盤に効果が見えない取材時間が延びたことは、管理面で反省すべきことだと感じています。


 ポスター貼りをスタッフに任せられなかったこと

009 ポスター貼りの人手が足らないことは、深刻な課題でした。当初から自らの手でポスターを貼りながら選挙運動を行う予定でしたが、有力な街宣スタッフが集まったことで、この戦略は大きなロスを生じる結果になってしまいました。2人乗務の予定だったウグイス嬢が常時3人乗っている車を、ポスターを貼る間止めなければいけません。しかも、候補者自らポスターを貼るわけですから、住宅地で演説もせずに街宣車が止まってしまうこともしばしばなのです。また、ひとけのない山の中を走ることも、しばしばです。
 ポスター貼りは直前になって、あるいは選挙が始まって間もない頃から、近所の方や同級生、そして親戚からの協力が得られるようになりました。さらには、「うちの地域には候補者のポスターが貼ってないけど手伝いましょうか」とメールや電話をいただけるようになりました。こんなときのためにも、ポスター貼りの責任者を設けておけば街宣車のロスを減らすことが出来たのではないかと感じております。


 ウグイス3人の魅力

DSC_8596 ウグイス嬢が3人同乗していると言うことは、車内が華やかになります。ワンボックスカーで走って中央の列に3人が並び、左右の窓から沿道の皆さんに手を振り、挨拶が出来、中央の席でマイクによる呼びかけが出来ます。その効果は、遊説を外で見聞きされた皆さんの方が、より感じていただけたのではないかと存じます。

022 一方で、注目も集まります。当然窓側に座る2人は、マイクを持っていないわけですから、沿道の皆さんと対話が出来なければいけません。候補者は助手席に座りますから、特に右側に座るウグイスさんは重要になります。候補者の代役としてみられていることを自覚できる人手なければ務まりません。ただしゃべれたら良いのではなく、意識の高い日とを配置できるかが重要でした。


 運転手選びの重要性

 今回の選挙戦、年末年始と言うことで運転手の確保に苦労することは、はじめから予想していました。1日12時間の労働ですから2人確保する必要があります。まずは、1人を確保するために、定年退職しているおじさんにお願いしました。
 通しで乗務してくれる人が見つかると、後は交代要員です。今度は地元の地理に詳しい日とを優先したいです。最終的に12月26日のみ1人で乗務していただくことになりましたが、ほかの日は交代で乗務していただくことが出来ました。
 当初の計画では、交代の運転手さんも同乗していただき、1〜2時間ごとに交代してもらう予定でした。ところが3列目に控えていると、前の窓が開いているために寒くて耐えられないという声が出されました。そこで、交代要員はJRで指定の駅まで向かって待機し、そこで交代する仕組みをつくりました。期間中は県内の公共交通を無料で乗車できるパスが支給されます。ちょっと割高感もありますが、個別にお金を出す必要がありません(完全公費負担)。振り返ると、積極的に活用すべきだったと感じます。
 ところが、控えの運転手が乗務していない時に困ったのが、運転手が眠気に襲われることです。選挙序盤から中盤にかけて、非常に悩まされました。交代要員はいません。候補者である私が運転することは可能ですが、現実的ではありません。3人いるウグイス嬢にお願い、ともいきません。これは、ポスター貼りと同様に報酬の規程に抵触します。そして、選挙カーの運転手は事前に届出が必要です。仮に1名追加するにも、車両の検査から全てやり直しが必要になるのです。
 この問題は、運転手が若い人(40〜50代)に代わる選挙終盤には解消できたのですが、選挙区が小さい県議会議員の選挙や大都市の総選挙ならともかく、参議院選挙や知事選には若い運転手の確保が重要になります。そう考えた時に、コストは割高になりますが、レンタカーではなくタクシー会社と契約することも、前向きに考えるべきだと感じました。期間後半の4日間を、二種免許を持った友人に運転してもらった時に、ウグイス嬢が受ける負担は大きく違ったようです。助手席にいる候補者は、地図と格闘していましたから、運転がうまいだけでは満足できないところもありましたが・・・。

 運転手選びで、もうひとつ気をつけないといけないのが、地元の道路事情に詳しすぎてもいけないことです。「え!」と思われるかもしれません。しかし大切なことです。私自身も建材店として県内を走り回っていましたから、渋滞が予想されると反射的に、知っている抜け道へとハンドルを切ります。今回務めて下さった方の中には、地元の土木会社に勤められている方がいらっしゃり、同じように抜け道に詳しいのです。ところが、選挙カーは速く目的地に到達すれば良いのではありません。いかに多くの人たちに声を聞かせ、名前を意識させるかが重要なのです。渋滞の中を走ることは大歓迎なのです。一方で、抜け道にハンドルを切ると民家がなくなってしまいます。新しいバイパスだけでなく、地図を見てもあまり意識しないような新道も、出来るだけ避けた方が、人と接する機会を増やすことが出来るのです。

 いろんな要因が街宣車の効果的な活動につながります。常に研究が必要な分野だと感じました。