今回の佐賀県知事選挙、私は立候補表明を行ってから3回の討論会と政見放送を経験しました。振り返って疑問に感じるのは青年会議所さんが主催された12月9日の公開討論会です。衆議院選挙の最中に、公開討論会を行うことが適当なのか?
 討論自体は、内容の濃い充実したものだったと思います。会場に足を運んで下さった方も、応援する候補者選びの参考になったと思います。しかし、一番の問題は新しく県知事になったのが、この時点で立候補表明を行っていない、会場にいる人ほぼ全てがお名前も知らない、山口よしのりさんだということです。結果から考えるとこの日の討論会は全くの意味を持たなかったのではないかと考えることが出来ます。あるいは、新たな候補者が現れた時点で、ネット配信する動画配信を中止することや改めて討論会を行い議論を行うことなど、工夫が必要ではなかったのかと考えられます。

 次に行われたのは、12月19日に佐賀新聞社が主催された公開討論会です。この会から4人の候補者による議論に代わりました。初めて山口新知事にお目にかかるわけですが、逢った瞬間に好感が持てる方だったことを記憶します。その時に、選挙情勢をひっくり返すことになるとまでは予測できませんでしたが、出身地の表現に対して冗談を交えながらの切り込み方だったりと、控室を和やかに出来る存在でいらっしゃいました。
 聴講者として討論会に足を運んでみると、候補者に質問してみたくなることがよくあります。今回候補者として参加して分かったのですが、選挙直前に開催されるこのような討論会では、全ての候補者の発言が平等に伝わるように、発言順や時間について厳しく制限されているのです。会場から質問を受け付けると、それぞれの候補者が得意分野・そうでない分野によって、回答に要する時間も変わります。時間管理を難しくし、公平な会の運営が出来なくなることが理由に行われることが分かりました。もちろんテレビ討論会に関しても同じことですが、今後、討論会が発展的になるためには、会場に足を運んで下さった方からは、事前に質問を受け付けるなど工夫をすれば、より多くのテーマに対して議論できるのでないかと感じます。
 公開討論会が大勢の有権者を前に主張し合う一方で、21日夜に行われたサガテレビの討論会は、スタジオを会場に司会者と解説員の下で議論が深められます。テレビですから、メイクアップがあります。事前に30分程度の打合せなどを行った後の収録は、CMの時間を含めて、そのまま生放送で使えるように発言やテレビに映る時間はコントロールされます。発言時間が少なくなった私に、最後のまとめ的な質問が回されていたのも、このためです。2分間のCMの時間には、メイクの手直しやお水が与えられます。2時間ほどの番組に、これほどのスタッフがかかり、細かく管理されているのかと驚きました。いきなりふられる質問には、戸惑うことも多かったのですが、諫早湾開門問題ではオリジナルの回答が出来なかったことなど、残念に感じることも少なくありません。

DSC_8210 22日には政見放送の収録が行われました。収録は告示日の受付で申込み、翌日の収録も可能ですが、街宣活動に影響するので、基本的に全ての候補者が事前収録を行います。
収録順番は、選挙の事前説明会の会場でくじ引きが行われ、私は12時半にサガテレビ、14時にNHK、15時半にNBCラジオという順序で回ることと決まりました。
(後に候補者が4名になったことで、2日に分けて収録されています)
 収録はテープの確認などを含めて30分程度です。テレビの最初には、メークも行われます。今回の政見放送には2種類の原稿を準備していました。実は、公共倫理に反するなどの場合に、放送できないことがあるらしく、直前の衆議院選挙でもこれに抵触して、放送できなかったケースがあったとの情報をいただいてました。公共倫理といわれても、どんなことが基準になるのか分かりません。そこで、NHKで使う原稿とは別に、民放の2局で使う原稿を当日に準備したのです。
DSC_8258 どちらも、練習の時間がほとんどない中で、内容を制限時間ぎりぎりまで活用して、うまくまとめることが出来ていたのではないかと感じています。もっとも、選挙期間に放送されるこれらを、私が視聴したのはNHKテレビの最終回で最後の15秒ほど挨拶を行う部分だけでした。5分30秒という時間におもいをこめること、長そうで意外と短く、難しいところでした。なお、テレビの政見放送には手話通訳士を付けることも出来ます。しかし、原稿を事前準備できる見込みが立たず、打合せも難しい私は手話通訳を付けないで行いました。

003 政見放送の申込みには、供託金(300万円)の納付書が必要になります。これは、テレビ局へ収録に行くとメイクからカメラマン、ディレクターまで多くの人手がかかっていることが分かります。特にNHKでは、局のお偉いさんが出迎えて下さいます。新聞に掲載される名刺大の広告でも4回で100万円を超えるという費用が、公費負担で行われるわけですから、選挙出馬の意志を正式に示す意味でも、その確認が必要なことはうなずけます。また、大きなお金が動く政見放送ですから、サガテレビさんには3回の放送全てを平日の10時台という、ほとんどの人がテレビを見ない時間ではなく、朝夕など食事の時間などにも行って欲しいと感じました。
 ちなみに私が供託金を納めたのが15日、サガテレビとNBCラジオに政見放送申込みを行ったのが17日、NHKに申込みを行ったのが18日(事前受付は17,18日の両日)でしたが、その間の16日に山口新知事が立候補表明をなされたのも偶然ではないものだと感じています。

 今回問題にした公開討論会にも、演題に立つ条件として「供託金納付の確認」を行うことなどを仕組みに取り入れれば、立候補予定者が出馬を見合わせる、という事態を防ぐことにつながるのではないかと感じます。