035 佐賀平野ではこの週末、田植えのピークを迎えます。私は一足早く直播きで作業を終えていますので、あと一週間ほどは様子見が続きます。

 美しく広がる水田の一方で、まだ耕されていない減反の圃場が広がります。今年佐賀県が減反する面積割合は35%を超えています。前知事のときの判断で、国から求められる面積以上に減反した方が経済的にも有利に働くと考えられたからでしょう。佐賀平野は暗渠排水など基盤整備が充実しているからです。

 しかし、こうした判断が大きな誤りをもたらしているかもしれません。一昨年に体験したウンカの被害。この後に学ぶ機会を得た肥料について、その性質が田んぼと畑では大きく異なるというのです。ここで言う「田んぼ」とは水を張って作物を育てる稲作のこと、「畑」とは水を張らずに作物を育てる麦や大豆のことです。

(以下、岩澤先生の著書を引用)
 田んぼには水があり、無酸素の状態ですから還元的です。ところが畑の土には多くの空気が含まれ、酸化的です。従って、微生物から土壌生物、地表の生き物にも大きな違いがあり、雑草や作物も異なります。・・・・・・
 イネはアンモニア態窒素を好む植物ですから、施肥される肥料は畑とは違い、アンモニア態窒素が主体です。このアンモニア態窒素は、イオン化しての電荷はプラスイオンに帯電しますから、マイナスの土壌に吸着されて非常に安定的です。しかし、これが落水され、空気が土壌中に入り込むと、たちまち安定性は崩れ、窒素は流れ出します。そして土壌に酸素が入ると、今まで田んぼにいた嫌気性の微生物は、好気性の微生物に取って替わられます。好気性の硝酸化成菌は、アンモニア態窒素を硝酸態窒素に酸化します。硝酸態窒素は電荷がマイナスですから、マイナスの土壌とは反発して、遊離窒素になってしまいます。(以上引用、本では窒素をチッソと表記)

 ひと言で肥料と言っても、奥が深いです。戦後農業学校などで教えられた農学では、植物に必要な肥料の三要素を「チッソ、リン酸、カリ」とされていました。今でも多くの農家の方が、単純にそう考えていらっしゃると思います。しかし、同じチッソの中にも大別して「アンモニア態窒素」と「硝酸態窒素」があることを知り、また有明海学の中では「亜硝酸態窒素」というものがあることも知りました。私たちが普通に必要だと考えていた肥料や成分が複雑に変化し、今ではマイナスの効果が大きいと指摘されるものも多いのです。

 昨年香港にご一緒させていただいたDr.中松から「私はガンで余命2年と宣告されている。ガン患者は身体に悪い5つのものを外さなければならないと紹介していただきました。
・ タンパク質
・ ナトリウム
・ カリウム
・ 鉛
・ 砂糖
です。それから、ガンには乳製品が悪いことも付け加えられました。今後、先生の研究として発表されるかと思いますが、常識という言葉とは異なり、真実は常に変化していることを理解して学続ける謙虚さが大切だと感じます。