119 台湾には蓬莱米、という日本人が開発したお米があるそうです。
 台湾で育てられていたお米は長粒種のインディカ米で、日本人の味覚に合わないため、磯永吉先生と末永仁先生によって研究をはじめられた短粒種をベースに、食味を日本米と同程度に育成された品種を総じて蓬莱米と呼ぶそうです。
 日本でいう「コシヒカリ」とか「ヒノヒカリ」という一つひとつの種類の呼び名の一つに「蓬莱米」があるのではなく、研究されてできたお米を総じて「蓬莱米」と呼ぶそうです。

054 南回帰線付近に位置する台湾で日本のお米を育てることは、容易ではありません。温度の違いを克服するために台北・陽明山の麓にある竹子湖に試験場を設け、品種改良に取り組まれています。生育に成功すると少しずつ、標高の低い地域に作付けを広げることで、新しい品種の実用に結びつけたそうです。

072 資料館を見学したあとは当時、品種改良を行っていた試験田へ。







095 今は、稲の品種改良ではなく地元の皆さんが様々な野菜作りに励まれています。

 戦前、日本本土だけでまかなうことができなかったコメを、海外の土地から輸入する、そんな時代があったことを私たちは知っておく必要があると感じます。