お金の話、というと多くの人が関心を持ちますが「金融」とよんで理論化されるとほとんどの人が離れてしまいます。そんな世界で、現代貨幣理論(MMT理論)というものが注目を集め、これまでの経済学者と真偽について議論がなされています。

 現代貨幣理論は、一言でいうと
「自国通貨建てで国債を発行する国は、インフレを起こさない範囲で国債の発行が出来る」
というものです。私もこの理論に賛同しますが、日本がこれを行うためには、2つの条件を満たす必要があります。

1.エネルギーが自給できること

2.食料が自給できること

現在の日本は、どちらも満たしていません。国債を発行して通貨の流通量を増やすことは出来ますが、全ての日本人、あるいは日本に滞在する人々が暮らすためのエネルギーを満たすことも、お腹を満たすことも出来ません。ゆえに、現代貨幣理論を実現するためには、発行する国債により得られた歳入を最優先で、この2項目に投資する必要があるのです。

1.エネルギーを自給すること
 過去に失敗した原子力、核燃料サイクルや自然エネルギーもありますが、シーレーン、石油を安定的に輸入できるための国際協力とそれを実現するための防衛力(海軍力)を補強する必要があります。
 ホルムズ海峡をはじめ、マラッカ海峡、台湾海峡と日本へ石油を運ぶためには、絶対に安全を確保しなければならない地域があります。これを他国に頼っている以上、外貨が必要であり自国通貨建てで運営している国家とは呼べません。

2.食料を自給すること
 政府が誤った統計を出すようになって、多くの人が勘違いをしてしまいますが、食料自給率とは「食糧」穀類の自給率であり、水の自給率です。カロリーベースや金額ベースでは、お腹を満たすことは出来ません。
 平成の30年間に、穀類を生産できる農地は埋め立てられ、飲み水を確保するための水源は外国人に売られ、水道事業は民営化(外資参入)が許されました。どれも、外貨でしか取り戻すことは出来ないのです。

 今回の記事では現代貨幣理論を日本で使うための条件を示すことに留め、それを解決する方法は別の機会、あるいは読んで下さった皆さんが議論していただければと存じます。
 現代貨幣理論は、正しい理論だと感じますが、日本で採用するためには、2つの条件を政府・自治体が最優先課題として努力し、国民がそれを後押しすることが必要だと考えています。